「名著とは、人生を通して楽しめるものである」。
この言葉を知ったのは、大学2年生の時。教養の授業で受けていた経営学の先生が授業中に話していた。
これまで、1度読んだ本を読み返す習慣がなかった私は、この意味が分からないでいた。
しかし、先日参加した”読書会”で7年前のこの言葉がふと頭をよぎったのである。
“読書会”とは、20代前半~後半の学生~社会人が参加し、
橘玲さんの本など、自己啓発本と言われる類の本を読み感じたことを
5分ほどでアウトプットしあう会のことだ。
元から本を読むのが好きな私は、友人からの誘いを受けてこの会に参加した。
そこで、過去に私が読んだ本のアウトプットが行われていた。
『苦しかった時の話をしようか』。
森岡毅さんが書かれたこの本を読んだ当時の私は、
副業や転職など新たなことをはじめるのに大きな不安を感じていた。
この本を読んで一番心に残ったのは、「不安は人生が好転するサインであって、それはいいことだ」というフレーズが心に残っていた。
このフレーズから、「不安はと、包丁や火と同じであって、使い方を間違えると人を殺してしまう(不安の場合は鬱で自分を潰してしまう)が、上手く使うことで美味しい料理を作ることなど、可能性を広げてくれるものである」という理解を得るに至った。
しかし、読書会でこの本のアウトプットをしていたAさんは、
「資本主義は無知であることと愚かであることに税金を課す社会である」というフレーズが強烈に残っていたそうだ。
正直私は、このフレーズをこの時まで忘れていた。
聞けば、このAさんは保険関連の仕事をする上で、お金の流れを勉強し、
今まで何となく払っていた税金や年金に対して疑問を持っていたそうである。
新しいことに不安を感じていた私の背中を押してくれた。
お金について勉強するモチベーションをAさんに与えた。
1つの本が持つ意味は、その人やその時の自分の状態を映す鏡であるような気がする。
社会人になると、目の前の仕事で手一杯で、
自分が何に悩んでいて、何に苦しんでいて、何に取り組むべきかを自省する時間が取りづらいことがある。
しかし、こうした読書会で他の人が読んだ本を自分はどう捉えていたのか、見つめ直すことで、
自分の状態を把握するきっかけになるのではと感じた。
これこそ、この記事の1行目で述べた「名著とは、人生を通して楽しめるものである」ということの意味ではないだろうか。
皆さんも友人と、同じ本を読んで語り合う場を設けてみてはと提案したい。
もしそれが難しければ、『苦しかった時の話をしようか』を読んで心に残ったフレーズをSNSに投稿するのはいかがだろうか。